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配置薬の健康食品、本当に必要ですか?

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 第40回 配置薬の健康食品、本当に必要ですか?

 第40回は配置薬について説明する。

 配置薬とは置き薬とも呼ばれ、配置薬業者が顧客に薬一式を預けておき、服用した分だけ料金を請求するというものである。都市部にはドラッグストアが多数あるが、病院や薬局が少なく、車を運転できない高齢者が多い農村部においてはいまだに利用者は多い。

 ただし、配置薬業者の販売傾向を調べてみると、近年は薬よりもサプリメントやドリンク剤などの健康食品の販売がほとんどを占めていると言える。筆者は「健康食品」という表示に法的な規制を設けるべきであると思うが、健康食品とは健康になれる食品ではなく、健康になれるかもしれないという食品であり、医学的根拠はないことが多い。医薬品と異なり販売規制がなく、また医薬品より単価が高いため、実際には薬はほとんど売らず、健康食品の販売に特化しているというのが現代の配置薬業者の実態である。

 特に高齢者のみの世帯は判断能力が弱く、馴染みの訪問販売員との関係もあることから、年金のほとんどを健康食品の購入に充てさせられているという深刻なケースもある。そもそも、高齢者は病院から薬を処方されていることが多いため、あえて他の薬を併用する必要はないし、昔ながらの野菜中心の食事において健康食品はほとんど必要ないであろう。慢性的な痛みを緩和するとされる健康食品も、薬局で薬を処方してもらえば健康保険が適用されるため薬のほうが費用も安い。運動もせずに糖分が大量に含まれるドリンク剤を毎日服用していれば、生活習慣病など他の病気に罹患するおそれもある。

 高齢者が得られる情報はテレビのCMや新聞の折り込み広告くらいで、健康食品の効果に対する情報や認識が弱い。毎月10万円も配置薬業者から言われるままに高額な健康食品を購入させられている案件もあり注意が必要である。 しかしながら、法的な規制はほとんどないため、各地でトラブルが頻出している。強引に販売されることは稀であると思うが、判断能力が劣る高齢者に対して不必要な健康食品を次々と販売しているケースが多い。高齢者自身は契約に合意しているし、効果もあるものと信じきっていることが多いから、違法とされるケースはほとんどなく、被害を拡大させている。

 遠方に高齢の親をもつ子供たちは、ぜひこの機会に親の支出について相談に乗ってほしい。インターネットによる情報が得られない高齢者世帯は、不必要な訪問販売や通信販売を利用している可能性がある。 配置薬業者とのトラブルについては、全国の消費生活センターや国民生活センターに相談事例が多く、それらの機関に相談することも役に立つかもしれない。