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ネットショップを始めるにあたって

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 第32回 ネットショップを始めるにあたって

 第32回はインターネットを利用した事業を開始するにあたっての利用規約の重要性について説明する。

 現代ではネットでほとんどの商品やサービスを購入することができ、買い物に行く、複数の店舗を歩き回るなどの手間がなくなり、特に地方在住者にとって非常に便利な時代になった。筆者も年回百回程度ネット決済を行っており、多くのネット事業者を利用している。ネットショップは実店舗を構える必要がなく、固定費や人件費も抑えられることから、起業しやすい。

 しかしながら、顔の見えない相手との取引はトラブルが生じやすい。それを未然に防ぐのが利用規約である。商品などをカートに入れ、注文を確定する直前に出る小さな文字いっぱいのあの画面である。消費者側は利用規約を読むことはほとんどないが、利用規約に「同意する」のボタンを押させることにより、事業者側にとってはトラブルになったときの最大の防具となる。

 ネットでの利用は、消費者が商品を手に取っているわけではなく、また、サービスについて店員から直接に説明を受けているわけでもないので誤解が生じやすい。モニターで見た商品と実際に届いた商品とで色や形、サイズが想像より異なっていたということは誰しもが経験したことがあるだろう。ただ、消費者の都合ですべて返品、返金が可能であれば、実店舗より安さを売りにしたネットショップの優位性が損なわれてしまう。

 ネットショップについては、特定商取引法による表示義務がある。それには、事業者の名称や住所のほか、送料やキャンセル、不良品だった場合についての規定も表示しなければならない。しかし、それだけでは足りないので、補足する事項として利用規約を定める必要がある。利用規約には代金の決済時期、利用する際の禁止事項、返品や返金の規定、事業者または消費者が損害を与えた場合の規定などが含まれる。また、ある大手のネットショップの利用規約には、消費者が受けた直接の損害以外は賠償しない規定がある。つまり逸失利益や代替費用、慰謝料などの支払いには応じないということである。また、サービスの停止についても消費者に通知することなくいつでも停止でき、その損害を負わないとする。そして、専属的合意管轄裁判所という規定があり、これを定めることにより、通常は消費者の管轄裁判所に提訴しなければならないところ、事業者の管轄裁判所への提訴に替えることができる。

 利用規約を定めるには法律的な専門知識が必要であり、法律家や法律隣接職に作成を依頼するとよい。専門家への僅かな費用を惜しんで自社が多大な損失を被ることのないよう事前に準備しておきたい。