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コロナ時代の飲食店の「おもてなし」とは

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 第41回 コロナ時代の飲食店の「おもてなし」とは

 第41回はコロナ時代での飲食店の対応について考える。

 先日、岡山県の地方都市にある寿司店を訪れたときのこと、入店時に「県内ですか、県外ですか?」と訊かれた。県外であると答えると、地元客とは遠く離れた客間に通された。内心「やれやれ」と思ったが、岡山県を含む中国地方は新型コロナウイルス感染者が非常に少なく、県民が県外客を警戒するのもやむを得ないだろう。ところが、女将は地元客と分け隔てなく接してくれ、料理の内容など詳細に説明してくれた。なるほど、これは店側が警戒しているというより地元客への配慮なのだと理解した。確かに、地元客の隣席で国内のウイルス発生源である北海道から来たなどという話をしたら地元客は食事どころではないだろう。地元客へ配慮を示し、かつ観光客にも食事を楽しんでもらえるよう考えた上での策であろう。

 ただし、この区別は店主や店員のちょっとした言葉遣いや表情によって、「二度と来たくない店」との烙印を押されるほか、クチコミサイトで誹謗中傷されかねない。感染症対策を強化したとしても、常に顧客へのおもてなしが感じられるような接客に努めるべきである。この寿司店は地元で70年以上営業している老舗であるから、一朝一夕では培えない心地よいおもてなしを提供することができていた。

 道内でも感染者が少ない地域では、地元客だけを受け入れたいという飲食店も多いだろう。実際に、道外では「県外の方は入店お断り」の掲示をしている店舗も多数ある。道内でも札幌市内に感染者が集中しているため、見たことはないが「札幌市民は入店お断り」などという張り紙をすることも考えられる。このように地域を限定して入店を拒否すること自体はこのコロナ下においては法的には問題はない。ただし、入店拒否された客側としては偏見や差別と捉えて不快に思う人も少なくないだろう。感染が収束しても、「あのお店には行きたくない」とのイメージを拭うことは困難である。一度離れた客は二度と戻ることはない。したがって、どうしても地元客に限定したいのであれば、やはりその表現や対応に十分に注意すべきである。

 いずれにしても、飲食店にとっては難局がまだしばらく続きそうである。しかしながら、危機と捉えるのではなく、飲食店史上最大の機会と前向きに捉えたい。現状においては老舗も人気店も新規店もみな押しなべて苦境にあり、感染症収束時にはみな平等にスタート地点に立つため、新たなアイデア次第では新規店であっても不人気店であっても行列店を凌ぐことは十分に可能であろう。そのためにも、今はメニューやサービスの企画、開発に励む絶好の機会であり、飲食店にはぜひとも頑張って危機を乗り越えてもらいたい。