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親の不動産を活用する

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 第31回 親の不動産を活用する

 第31回は不動産の相続と活用について説明する。

 親の遺産に、大抵含まれるのが親の住んでいた土地と家屋である。昔であれば、親の土地に子供や孫などが何代も住み続けたり、売却すると高値で取引された時代もあったが、現代においては、子供の多くは自らの家を所有しているし、売却するにしても特に地方の不動産はなかなか売れず、売れたとしても昔に比べ非常に安く、「負動産」となることが少なくない。

 そのため、親の不動産を相続せず、そのまま放置しているケースが少なくないのだが、放置すると相続関係がさらに複雑になって売却が困難になってしまったり、きちんと活用すれば大きな収入源のひとつとなるのに、ただ固定資産税や火災保険料を延々と払い続け無駄になっているだけというケースが非常に多い。ここでいう相続とは、移転登記の完了までを指し、単に相続人が住み続けているとか、固定資産税を払っているというだけでは相続手続きが完了しているとはいえない。

 以下、相続を放置することのデメリットをあげてみよう。

 まず、不動産は相続手続を行なわなくても、固定資産税が毎年かかるし、家屋の維持管理や除雪も必要である。相続人の誰かが当面管理したとしても、相続手続をする際には他の親族からも権利を主張され、必ずしも管理人がその物件を自分の名義にできるとは限らない。そうすると、それまで支払ってきた税金や維持管理費用について相続人間で揉める可能性がある。

 ときどき、誰が相続するか決まらないため、とりあえず相続人全員の共有の登記をするケースがあるが、これもあまりお勧めできない。共有者全員が平等にその不動産を活用することなどありえないし、もし共有者が死亡してしまうと、その配偶者や子が相続人となり、さらに共有者が増えてしまい、権利や義務が複雑になるからである。

 また、例えば父親の不動産を相続手続せずに、その後に母親も死亡してしまうと、二回分の相続手続をしなければならなくなる。ここで、父親の死亡時にすぐに相続していれば、父親の子供の名義とすることができるが、仮に母親が再婚で前夫との間に子がいたときには、その子も相続人となる。つまり、父親とは全然血のつながりのない人も相続人となり、不動産の名義はいらないがお金で支払うよう主張される可能性がある。

 家屋が古く傷んでいたとしても、リフォームして民泊としての利用も考えられる。たとえば、1泊3万円の宿泊料で年間180日稼働すれば年収540万円になり、アパート経営よりはるかに収益性が高い。民泊利用者はレンタカーでの移動も多く、駐車場があれば郊外や農村部にある古い家屋でも有効に活用できる。

不動産の相続はなるべく早めにというのが専門家の見方である。