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相続・遺言・成年後見制度

成年後見制度の申立て

 1 申立てができる人

ご本人、配偶者、4親等(姻族の場合は3親等)以内の親族(親子、兄弟姉妹、おじ・おば、甥・姪、いとこなど)、その他法律で定められた人

 2 申立先

ご本人の住所地の家庭裁判所

 3 提出していただく書類及び申立費用

  (1)提出する書類は当事務所でご用意いたしますが、申立てをされる方に記入をお願いする書類がございます。申立に必要な家庭裁判所に支払う費用については、別途ご説明いたします。

  (2)審理にあたって、ご本人の財産内容を明らかにしていただきます。したがって、申し立ての際にご本人の「財産目録」及び財産関係の資料一式のコピーを併せてご提出ください。

 4 申立ての受付

  申立書及び必要書類が揃いましたら、家庭裁判所に提出します。

 5 審理手続

  (1)受付後の手続きは、調査→鑑定→審判→審判確定→成年後見登記と進みます。東京法務局に登記事項証明書(後見人等であることの証明書)の交付を申請できるようになるまでには、申立ての後、最短でも数か月ほどかかると見込まれます。現状では、旭川家庭裁判所での申立ての場合、3か月から半年以上かかることもあります。

 

   通常、申立書の受付後約1か月以内に、詳しい事情をうかがう調査を実施します。調査の日時は、改めて家庭裁判所調査官から連絡されます。

   調査では、この手続きが必要になったいきさつ、ご本人の生活状況、財産の内容(申立ての際にご提出いただいたコピーと照合しますので、必ず財産関係の資料一式の原本をお持ちください。)、後見人候補者の生活状況、経済状況などを尋ねられます。

(2)審理にあたり、申立てに対するご本人の意向を聴取しなければなりません。調査の際には、できる限り、申立人、後見人候補者及びご本人がそろって行ってください。同伴が困難な場合は、後日、家庭裁判所調査官が病院、施設、ご自宅などを訪問し、ご本人と面会することになります。

(3)成年後見制度は、ご本人を保護するための制度ではありますが、結果としてご本人の権利を制限することになるわけですから、ご本人の精神状況について医師による「鑑定」を行ないます。申立ての際にかかりつけの医師による「診断書」を提出していただきますが、鑑定は、それとは別の手続きです。鑑定の正式な依頼は、後ほど家庭裁判所が行ないます。

   鑑定にかかる費用は、7万円から10万円程度と見込まれます。費用の支払先など、詳しくは、家庭裁判所の担当者から連絡されます。また、簡易な鑑定として3万円程度の場合もありますし、鑑定自体が行なわれないこともあります。鑑定費用は裁判所を通して医療機関に支払われます。

  (4)後見人(保佐人、補助人)に誰を選ぶかは、関係者の意見を聞いた上で、 家庭裁判所が決めます。多くはご本人のご家族や親族が候補者となることを希望し、家庭裁判所に選任されますが、申立人が申立書に記載した人とは別の人が選ばれることがあります。家庭裁判所が必要と判断すれば、後見人(保佐人、補助人)に弁護士や司法書士、行政書士、税理士、社会福祉士などの専門家を選ぶことがあります。その場合の人選は家庭裁判所に一任することになります。専門家を選んだ場合に発生する費用やその後の報酬などは、家庭裁判所によって決定され、ご本人の財産から支出することになります。法定後見の場合、任意後見制度と異なり、原則として家庭裁判所が直接後見人の監督を行ないますが、家庭裁判所が必要と判断すれば、後見人(保佐人、補助人)の仕事の内容をチェックする後見監督人(保佐監督人、補助監督人)を選ぶことがあります。家庭裁判所のこれらの決定に対しては、不服を申し立てることはできません。また、被後見人自身も後見監督人の選任を請求することができます。

(5)後見人(保佐人、補助人)に選任されると、1か月以内に、ご本人の財産の内容を一覧表にした「財産目録」の提出を求められます。

6 留意点

  (1)これまで、後見人等候補者ご自身またはその親族がご本人との間で訴訟や調停をしたことがある場合には、当事務所へご相談いただくときに必ず申告してください。後見人となることができない場合があります。

(2)後見開始の審判があると、ご本人は選挙権及び被選挙権がなくなります(公職選挙法11条1項)。また、後見開始または保佐開始の審判があると会社の取締役になることはできません。

   さらに後見開始または保佐開始の審判があると、医師や弁護士など一定の資格を取得できなくなったり、公務員などの一定の職業に就くことができなくなります。

  (3)成年後見人制度のご利用をお考えになったきっかけは、土地の名義変更、保険金の請求など特定の目的のためであることが多いと思われますが、後見人(保佐人、補助人)に選任されると、その役目は、ご本人の判断能力が回復するか死亡するまで続きます。目的とする手続きが終わったからといって、後見人の役目が終わるわけではありません。

   また、後見人(保佐人、補助人)を辞めるには、家庭裁判所の許可が必要であるとともに、後任の後見人(保佐人、補助人)を選ぶための申立てをしなければなりません。